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「冷えてお腹が張る」
女性ホルモン ヘルス&ビューティコラム vol.3

連載 「女性ホルモン ヘルス&ビューティコラム
―女性ホルモンの波に着目してヘルス&ビューティを支える体・心・肌ケアを提案します」 vol.3

Text by 増田美加 / 女性医療ジャーナリスト

冷えている人は、お腹が張りやすい!

お腹に手を当てる女性

手足がいつも冷たい上半身は暑いのに下半身が冷えるお腹が冷えて下痢しやすい、という不調を感じたことがある人は多いはず。
冷えている人は、お腹が張って苦しい、お腹にガスがたまる、というように便秘でもないのにお腹が張ることがあります。

冷えといっても、症状はさまざま。足先がほてって、布団から足先を外に出さないと眠れない…というのも、実は冷えの前兆です。
冷えている人は、むくみに悩まされることも多いのです。ストレスでも、血流が低下してむくみ、お腹の動きが悪くなって、腸全体が張ってきます。

また、秋は急に気温が下がり、体全体の血流が悪くなりやすい時期なので、冷えてお腹が張りやすい季節でもありますね。

注意しなくてはならない、お腹の張りもあります。生理周期に関係なく、長期間続くお腹の張りは、子宮筋腫、卵巣のう腫、子宮がん、大腸がんなどの自覚症状でもありますから、放置しないで婦人科や消化器科を受診しましょう。

お腹が張りやすいのは、どの時期?

  • 生理開始日~7日目 ⇒「生理期」
  • ☐ 生理開始8日目~14日目 ⇒「ハッピー期」
  • ☐ 生理開始15日目~21日目 ⇒「ニュートラル期」
  • 生理開始22日目~28日目 ⇒「PMS期」

(*日にちはおよその目安で個人差があります)

月経周期のイメージ図

お腹の張りや下腹部痛は、生理周期に関連して起こることもあります。生理周期のPMS期生理期に起こりやすい症状です。
生理前は、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が多くなることが原因と言われています。

PMS期や生理期に、体が冷えたり、ストレスが高くなったりすると、さらにお腹の張りやむくみが加速しやすいので要注意です。

3つのクビを冷やさない対策を

レッグウォーマーで脚を温める女性

PMSや生理期など女性ホルモンの周期で、毎月お腹の機能が低下して悩んでいる人は、低用量ピルや漢方薬など、さまざまな治療法があります。毎月、PMSや生理中の不調に悩まされている人は、ぜひ婦人科を受診して相談しましょう。

この季節、急な気温の変化で、冷えてお腹の機能が低下することもあります。簡易カイロや腹巻き、タイツ、靴下などの冷え対策は、想像以上に大切です。

特に“3つのクビ=お腹(腰)、首、足首”を冷やさないことがポイント。冷えた室内などでは、薄手の腹巻きやショールで、お腹(腰)周り、首周りを保護するなど冷やさない、こまめな対策が意外と重要です。

腸のぜん動運動を促進するケア

ヨガをする女性

セルフケアとしては、腸のぜん動運動を促進するケアをしましょう。たとえば、ウォーキングやストレッチ。軽い運動は、効果抜群です。
また、湯舟で体を温めながら、お腹を時計回りにやさしくマッサージするのも、腸のぜん動運動促進にはいいですね。

鎮静作用のあるラベンダーや、血流を促進するジュニパーの精油が入ったマッサージオイルを使ってみるのもおすすめ。ジュニパーは、妊娠中の方や血圧に心配がある方は、医師に相談するか、使用を控えてください。

ビタミンB群、乳酸菌、食物繊維を意識して

ヨーグルトと玄米ブラン

冷えてお腹が張っているときは、内臓も疲れ気味ですから、体を温める食事を摂るように心がけます。

体内のエネルギーを燃やし、熱に変えるビタミンB群が不足すると、血流が低下して冷えて、むくみやすくなります。エネルギーは燃えずに貯蓄され、太りやすくなる要因にも。
効率よくビタミンB群を摂るには、玄米や発芽玄米がおすすめです。玄米が苦手な人は、アボカド、レバー、うなぎなどもビタミンB群の多い食材です。工夫して摂るようにしましょう。

また、“腸活”として、乳酸菌や食物繊維を摂るように心がけましょう。
乳酸菌は、味噌、しょう油、ぬか漬け、麹、キムチ、ヨーグルト、チーズなどの発酵食品に含まれています。
食物繊維も意識して摂りましょう。コンニャク、海藻、キノコは、カロリーも少なく食物繊維豊富です。玄米、発芽玄米は、食物繊維が多く摂れます。玄米は、白米より食物繊維が約3倍あると言われています。

(2020年11月3日掲載)

増田美加 女性医療ジャーナリスト

増田 美加

女性医療ジャーナリスト
エビデンスに基づいた健康医療情報について執筆、講演を行う。女性誌『婦人画報』『GINGER』『My Age』、新聞『時事通信』、女性WEBマガジン『MY LOHAS』『Web GINGER』ほかで女性のヘルスケアや医療の連載を行う。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。