「女性ホルモンの波とマスクかぶれ」
女性ホルモン ヘルス&ビューティコラム vol.1
連載 「女性ホルモン ヘルス&ビューティコラム
―女性ホルモンの波に着目してヘルス&ビューティを支える体・心・肌ケアを提案します」 vol.1
Text by 増田美加 / 女性医療ジャーナリスト
CONTENTS
マスクでかぶれやすくなっている!?
晩夏も暑い日が続きますが、マスクを外しにくい日々が続いていますね。
今、「顔に赤みが出る」「顔に湿疹やブツブツができた」「顔にかゆみがある」などの肌トラブルに困っているという声が聞こえてきます。
顔の皮膚は、体の中では比較的薄いため、トラブルが起こりやすい部位のひとつです。あまり、かぶれたことがなかった人も、夏のマスクでかぶれやすくなっている人はいるでしょう
ところで肌トラブルには、女性のホルモンサイクルで、起こりやすいときがあるのを知っていますか?
肌トラブルが起こりやすいのは、どの時期ですか?
生理周期のなかで、肌トラブルが起こりやすい時期と、起こりにくい時期があります。下記の4つの時期で、どの時期でしょうか? チェックしてみてください。
・ 生理中(生理開始日~7日目)⇒「生理期」
・ 生理後~排卵日(生理開始8日目~14日目)⇒「ハッピー期」
・ 排卵後~1週間(生理開始15日目~21日目)⇒「ニュートラル期」
・ 生理前1週間(生理開始22日目~28日目)⇒「PMS期」
「今週は、肌の調子がいい!」「最近、赤みやかぶれが出やすい~」「今週は、鼻がテカって吹き出物が~」こんな症状の揺れ動きは、女性なら誰もが経験済みですね。
かぶれ、赤み、かゆみ、吹き出物などの肌トラブルが出やすいのは、生理前1週間の「PMS期」です。逆に、肌の調子がいいのは、生理後から排卵までの「ハッピー期」に多いです。
女性の肌は、月のサイクルで大きな変化が起こります。もちろん体と心も同じです。その原因は、女性ホルモンのリズムです。女性ホルモンが生理周期に応じた仕事をしているからです。
女性ホルモンの波に合わせたケアを
だからこそ、女性ホルモンの波に合わせたケアが大切です。女性ホルモンのリズムによる生理周期は、上記のチェックに挙げたような4つに分類できます。
「生理期」は、体だけでなく肌もデトックス中です。無理に肌への栄養を補給せず、敏感肌用ケアで休ませることも。
「ハッピー期」は、エストロゲンの分泌が増えて、肌は安定してトラブルの少ない時期。新しい化粧品を使い始めたり、スクラブなどの積極なケアもOK。
「ニュートラル期」は、次の「PMS期」に備えて、保湿と栄養補給をたっぷりと。
そして、「PMS期」は皮脂分泌が増え、吹き出物や肌トラブルが多い時期です。保湿をして刺激しないケアを心がけます。
こんな症状なら、かぶれ(接触皮膚炎)です
マスクも、汗も、化粧品も、かぶれ(=接触性皮膚炎)の原因になります。こんな症状があれば、かぶれ(接触性皮膚炎)です。
・赤みがある
・かゆみがある
・痛がゆい
・熱をもっている
・ヒリヒリ、ピリピリする
・ブツブツができる
・水ぶくれなどが混ざることも
・ジクジクから時間が経つとガサガサに
これらの症状は、ひとつだけのことも、いくつも重なることもあります。
マスクをしていると、いつもの夏に以上に汗をかきます。マスクの下の汗や皮脂にも注意が必要です。マスクの下の汗とメークが相まって、肌トラブルを招きやすい要因になります。
かぶれ対策は、ストレスケアで副交感神経を優位にする!
女性ホルモンのエストロゲンの分泌が減少する生理前のPMS期やプレ更年期~更年期の時期は、女性ホルモンの変動でさらにかぶれやすくなる人もいます。
PMS期やプレ更年期~更年期は、ホルモンバランスが大きく変化し、そこに過剰なストレスが加わると、自律神経が乱れやすくなり、交感神経と副交感神経のバランスも崩れます。
ストレス過多で、交感神経の優位が続くと、皮脂腺から皮脂が過剰に分泌され、角層表面の皮脂膜も過剰になります。すると、毛穴から出る自分の皮脂で、かぶれるということが起こります。
肌は、自律神経でコントロールされていると言っても過言ではありません。ですから、自律神経が乱れやすいPMS期やプレ更年期~更年期は、ストレス対策に気を配って、副交感神経が優位になるリラックスできる時間をつくりましょう。
さらに、代謝や免疫力をあげ、脂肪燃焼を促すためにも、運動は必要です。リラックス効果のある運動なら、ストレス対策にもなり、一石二鳥です。
高脂質、高糖質の食事を控えることも大切
肌細胞がつくられる材料の基本は、食事です。肌のためには、高糖質、高脂質の食事を控え、腹八分目の和食を心がけましょう。
高脂質、高糖質の食事は、肌トラブルを誘発しやすい遊離脂肪酸の皮脂分泌を盛んにします。皮膚の炎症が女性に大敵なのは、皮膚老化を促進する“炎症老化”も引き起こしてしまうからです。
タンパク質は、納豆、青魚などを積極的に摂ります。抗酸化作用のあるビタミンCやB群、サケなどに含まれるアスタキサンチンもおすすめです。
かぶれは、皮脂が分泌される毛穴周辺から起こります。毛穴の詰まり、開きは、たるみ、しわ、しみにもつながります。
このような肌老化を最小限にするためにも、ストレス対策、食事、運動にも気を配ることが大切になります。
マスクの下でも、保湿とUVケアを忘れずに
肌のバリア機能を高めるためにも、保湿は重要です。皮脂分泌が過剰になっているときこそ、バリア機能が乱れているサインですので、いつも以上に丁寧な保湿を心がけます。
マスクをしているからといって、紫外線対策、UVケアは手を抜かずに行います。
肌トラブルがいつもよりひどい場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。
増田 美加
女性医療ジャーナリスト
エビデンスに基づいた健康医療情報について執筆、講演を行う。女性誌『婦人画報』『GINGER』『My Age』、新聞『時事通信』、女性WEBマガジン『MY LOHAS』『Web GINGER』ほかで女性のヘルスケアや医療の連載を行う。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。