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PMSの吹き出物&むくみ対策。
薬と化粧品選びのコツを伝授!


#女性ホルモンヘルス&ビューティコラム
「女性ホルモンの波に着目してヘルス&ビューティを支える体・心・肌ケアを提案します」 VOL.7
Text by 増田美加 / 女性医療ジャーナリスト


PMS(月経前症候群)の症状で特に気になる人が多い、吹き出物やむくみの対策、どうしていますか? PMSは、治療できることを知っていますか?
「でも、この程度で病院に行っていいの?」と躊躇するのも確か。
そこで、どの程度の症状であれば婦人科で治療したほうがよいのか…、セルフケアでどこまで何とかできるのか…。見極めのコツと対処法を紹介します。

PMSを医師に相談する目安は?

生理前の3~10日間で次のような症状があるかどうか、まずはチェックしてみましょう。

☑ 過去3ヵ月以上連続して生理前3~10日間に、下記の「体と心の症状」のうち、少なくともひとつ以上の症状がある。

体の症状

  • ・ 乳房の痛み
  • ・ お腹の張り、腰痛
  • ・ 頭痛
  • ・ 手足のむくみ

心の症状

  • ・ 抑うつ気分
  • ・ 怒りっぽくなる
  • ・ イライラ
  • ・ 不安
  • ・ 混乱
  • ・ 引きこもり

☑ その症状は生理開始後から4日以内に症状が改善し、13日目まで再発しない。
☑ 薬やアルコールによる症状ではない。
☑ これらの症状は、仕事や生活に支障をきたす。

いかがでしょうか?

上の4つのチェックにすべて当てはまったら、婦人科を受診して相談した方がよいPMSの可能性が高いです。婦人科では、PMSの治療として、低用量ピルなどのホルモン剤や漢方薬などを処方してくれます。

肌トラブルやむくみにもピルが役立ちます

ピルとコップを持つ女性の手元

生理前のニキビや吹き出物、肌荒れにも低用量ピルは効果的です。婦人科で処方してもらうことができます。

低用量ピルは、排卵を抑えて、ホルモンバランスを一定にすることで、肌の皮脂分泌や水分量のバランスを整えるのに役立ちます。

低用量ピルには、エストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンが含まれていて、避妊目的で使用される経口避妊薬(OC)と、生理痛など(月経困難症)の治療目的で使用され保険適用のある低用量エストロゲン・プロゲスチン製剤(LEP)があります。

いずれも排卵を抑えるとともに、子宮内膜が厚くならないようにして、痛みの原因となるプロスタグランジンという物質の産生を抑えます。その影響で、生理痛や生理周期によって起こるさまざまな症状が改善され、排卵を止めるので、PMS症状も改善します。

OC(経口避妊薬)とLEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン製剤)の選び方としては、避妊も兼ねたい人はOCがおすすめ。OCの種類はたくさんあるので、医師と相談して選んでください。OCは自費のためクリニックにより費用は異なりますが、1ヵ月分1シート約2,000~3,000円程度です(診療費別)。

また、ひどい生理痛があり、月経困難症と診断された人は、LEPがおすすめです。LEPは、月経困難症の保険適用薬です。生理痛がつらい人は、こちらを選んでもいいでしょう。健康保険3割負担で2,400~2,500円程度です(診療費別)。

どれが合うかは個人差もあるため、OC、LEPも含めて、1~2週間試して変えてみるのもよいかもしれません。

漢方薬もニキビ、肌荒れ、むくみに効果が期待できます

漢方薬イメージ

女性ホルモンのプロゲステロンには水を溜め込む性質があります。PMSの時期は、プロゲステロンの分泌量が増えるため、脳内物質(GABA)や水分代謝が影響を受け、むくんだり、体調が不安定になったりするといわれています。体重増加も水分の溜め込みによって起こりやすくなります。

PMSの対策には漢方薬もあります。有効な漢方薬はたくさんあるので婦人科で相談してください。PMS全般を改善する漢方薬から、PMSの吹き出物、むくみ、頭痛、腹痛など、それぞれの症状に対応する漢方薬もあります。

体質によって、同じ症状でも漢方薬が変わります。自分に合ったものを選ぶことが大切なので、医師の診察を受けるのがベストです。婦人科医は漢方薬をよく処方していますし、医師処方なら健康保険が使えます。

吹き出物によく処方される漢方薬には下記の2つがあります。

「清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)」

ニキビに多く使われている医師処方の漢方薬。健康保険が使えます。比較的体力がある人の赤みや炎症が強く、脂性肌のニキビに。顔面の湿疹にも使われます。

「桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)」

生理前に下腹部痛やむくみ、肩こり、頭重、めまいがあるタイプの、生理前と生理時のニキビ、吹き出物、肌荒れ、手足の荒れや生理不順に。医師処方の漢方薬で健康保険可です。

保水力のある敏感肌用化粧品を選んで

美容液をパッチテストする女性の手元

PMSの時期は、肌のターンオーバーが乱れて、角質層のバリア機能も低下します。この時期は、敏感肌用のやさしい化粧品を使いましょう。

特に、吹き出物や肌荒れが気になる人は、バリア機能が低下しているので、保水力の高めのものを選ぶことが大事です。また、洗顔料も敏感肌用のやさしいものを使いましょう。

睡眠を十分とって、ストレスケアをすることも有効です。ローズの香りはリラックスタイムにぴったり。ローズの精油をハンカチに沁み込ませて持ち歩くのもいいでしょう。

洗面器でフェイシャルスチームをするのもおすすめ。熱いお湯を入れた洗面器に精油を1滴たらします。蒸気を逃がさないように頭からバスタオルをかぶって洗面器を覆い、目を閉じてゆっくり深呼吸。蒸気が顔の血行をよくして、香りでリラックスできる時間を過ごせます。

(2021年4月15日掲載)

増田美加 女性医療ジャーナリスト

増田 美加

女性医療ジャーナリスト
エビデンスに基づいた健康医療情報について執筆、講演を行う。女性誌『婦人画報』『GINGER』『My Age』、新聞『時事通信』、女性WEBマガジン『MY LOHAS』『Web GINGER』ほかで女性のヘルスケアや医療の連載を行う。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。