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生理前にうつ、イライラが強い人は「PMDD」かも! 
女性ホルモンヘルス&ビューティコラムvol.6

連載 「女性ホルモンヘルス&ビューティコラム ―女性ホルモンの波に着目してヘルス&ビューティを支える体・心・肌ケアを提案します」 vol.6
Text by 増田美加 / 女性医療ジャーナリスト

PMS(月経前症候群)は、生理開始の約10日前~3日前頃から始まる心と体の不調です。だるい、むくむ、眠い、イライラ、うつっぽい、ニキビ・肌荒れ、胸が張って痛いなどの不調が出て、生理開始とともにほぼ消失します。
けれども、PMSの女性のうち、約5%にPMDDという月経前不快気分障害の人がいることがわかってきました。PMSにしては、メンタル症状がつらいという人は、その可能性があります。PMDDチェックであなたの症状をチェックしてみてください。

メンタル症状がつらければPMDDの可能性が!

PMDDとは、「月経前不快気分障害=Premenstrual dysphoric disorder」のことで、PMS(月経前症候群=Premenstual Syndrome)に比べて、日常生活に支障をきたすようなメンタル症状がさらに強いというのが特徴です。
PMSに悩む女性の5%程度がPMDDで、精神状態など情動関係の症状が前面に出る重症例が多いと言われています。強い抑うつや不安感、怒りなどが出てくることもあります。
PMSにしてはメンタル症状がつらいと思う人は、その可能性があります。PMDDチェックリストを紹介しますので、チェックしてみてください。PMDDの可能性があれば、我慢せず治療しましょう!

月経周期 基礎体温 女性ホルモンのグラフ

PMSは月経周期によるホルモン分泌の変化が影響していると考えられています (クリックで拡大)

PMDDの可能性が高い心の症状は?

下のリストを参考にチェックしてみてください。当てはまる人は、PMDDの可能性があります。婦人科に相談しましょう。

 

  • ☐ 下の太字の4項目のうち、少なくとも1つに当てはまる。
  • ☐ 下のすべての項目の合計が5つ以上ある。
  • ☐ チェックが入った項目の大部分は、生理開始後3日以内で消失する。
  • ☐ 下の症状があるとき、日常の活動に支障をきたす。
  • ・ うつ気分や落ち込みがひどい
  • ・ 不安、緊張感、がけっぷちなどの感情がある
  • ・ 批判や拒絶への感受性が高くなったり、情緒的に不安定で先が読めない
  • ・ イライラしたり、怒りっぽくなる
  • ・ 趣味や日常生活に興味が薄れている
  • ・ 物事に対する集中力が薄れている
  • ・ いつもより疲れて、活動ができにくい
  • ・ 炭水化物を過食したり、ひとつのものを食べ続ける
  • ・ 睡眠過多、あるいは睡眠不足
  • ・ 限界感、自己喪失感がある
  • ・ 生理前、次の症状のうち、少なくとも2つに該当するものがある
  • 乳房痛・乳房の張り
  • 頭痛
  • 関節または筋肉の症状
  • フワフワした浮遊感
  • 体重増加

PMSとの違いもチェックしてみて!

PMDDとPMSの見極めは、専門家でも難しいところがあります。念のため、下記のPMSのチェックを行ってみてください。先ほどのPMDDチェックと比べて、どちらがより多く当てはまるかを確認してみましょう。生理前5日間で下記のような症状があったら、PMSの可能性が高いと言えます。

 

  • ☐ 過去3か月以上連続して生理前の5日間に、下表の体と心の症状のうち、少なくとも1つ以上の症状がある。
  • ☐ 生理開始後4日以内にその症状が解消し、13日目まで再発しない。
  • ☐ 薬やアルコールによる症状ではない。
  • ☐ これらの症状は、仕事や生活に明らかな支障をきたす。
体の症状 乳房の痛み、おなかの張り、腰痛、頭痛、手足のむくみ
心の症状 抑うつ気分、怒りっぽくなる、イライラ、不安、混乱、引きこもり

※参考資料 / 生理のミカタ(バイエル薬品)

人によって、月によって、症状は大きく変わります。女性ホルモンの変動は、毎月女性に起こっていることにもかかわらず、PMDDやPMSの症状は、強い人や月によってつらい月があるなど、バラつきがあります。
PMDDやPMSは、ストレスや疲労の蓄積具合によって、症状が強くなったり弱くなったりするのです。
ストレスや緊張、疲労が蓄積されると、症状が強く現れます。特に、仕事で無理が重なったり、人間関係でストレスがあったりすると、不調が強く出ることがあります。

PMDDやPMSは、治療可能です!

ピルを飲む女性

PMDDやPMSは、婦人科を受診して相談しましょう。受診の目安は、あなたが不調で日常生活に支障があるかないかで決めていいのです。日常生活に支障があると感じたら、受診する目安です。

婦人科では、医師の問診やチェックリストで診断します。
婦人科での治療法は、低用量ピル、漢方薬、鎮痛剤、安定剤など、症状によってお薬を処方してもらえます。
また、PMDDの症状が強い場合は、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)などの軽い抗うつ剤を使うこともあります。カウンセリングも有効です。

日常生活では、禁煙を心がけ、規則的な生活、睡眠、軽い運動、バランスのとれた食事に気をつけることも大事です。食事では、野菜などの食物繊維を積極的に摂って、糖質、カフェイン、アルコールを減らすようにしましょう。リラックスして過ごす時間をとることもケアになります。

(2021年1月22日掲載)

増田美加 女性医療ジャーナリスト

増田 美加

女性医療ジャーナリスト
エビデンスに基づいた健康医療情報について執筆、講演を行う。女性誌『婦人画報』『GINGER』『My Age』、新聞『時事通信』、女性WEBマガジン『MY LOHAS』『Web GINGER』ほかで女性のヘルスケアや医療の連載を行う。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。