「生理は、本来、痛くないものなのです!」
女性ホルモン ヘルス&ビューティコラム vol.5
連載 「女性ホルモン ヘルス&ビューティコラム
―女性ホルモンの波に着目してヘルス&ビューティを支える体・心・肌ケアを提案します」 vol.5
Text by 増田美加 / 女性医療ジャーナリスト
生理痛を我慢しないで!
生理痛があるのは、当たり前と我慢していませんか?
日常生活に影響するほどの生理痛は、背後に病気が隠れている可能性があります。本来、生理は、そんなに痛いものではないのです。
生理痛はあるけれど、「これは、婦人科に行くほどの痛みなのか、よくわからない」と迷っている人は多いと思います。生理のときに起きる、腹痛や腰痛、頭痛……。いつものことだから、仕方がないとあきらめていませんか。
でも、もしそれが“異常”な生理痛なら、婦人科で治療すれば改善できる場合が多いのです。生理は、わかりやすい心と体の健康の指標でもあります。美容と健康のためにも、我慢しないで!
婦人科に行くべき生理痛はこれ!
もし、「生理痛がつらい……」と思ったら、次のセルフチェックを行ってみてください。婦人科へ行くべき、生理痛かどうかがわかります。
【生理痛 SELF CHECK】
- ☐ 生理痛で仕事や生活に支障が出る
- ☐ 生理のとき毎月、鎮痛剤が手放せない
- ☐ 生理痛で学校や会社を休んでしまう
- ☐ セックスのとき、奥の方が痛い
- ☐ 排便痛がある
- ☐ 生理のとき以外に、下腹部が痛むことがある
- ☐ 生理のときに飲む鎮痛剤の量が以前より増えてきた
- ☐ なかなか妊娠しない
ひとつでもあてはまる項目があれば、婦人科に行くべき生理痛です。
これらの症状がある場合、生理痛の背後に、月経困難症、子宮内膜症といった病気がある可能性が高いからです。婦人科に行く際は、これらの質問項目の答えをメモして、医師に伝えてください。
痛みだけじゃない! 異常な生理の見極めポイント
生理痛だけでなく、「出血量が多い」「生理不順がある」など、生理にまつわる気になる症状は、ほかにもありますね。異常な生理をチェックするポイントは、「痛み」以外にも、「量」「期間」「周期」があります。
【痛み以外の異常な生理のポイント】
(1)生理の量
- ☐ ナプキンの交換が間に合わず、服を汚してしまう
- ☐ 昼間でも「夜用ナプキン」を使う日がある
- ☐ 「昼用ナプキン」では2~3時間もたない
- ☐ タンポンとナプキンを両方使っている
- ☐ 「夜用ナプキン」でも一晩もたず、夜中にナプキンを取り替える
- ☐ 親指の先くらいのレバーのようなかたまりが出る
- ☐ 出血量が少なすぎる(ナプキンを1日1~2回しか取り替えない)
(2)生理期間
- ☐ 生理期間が1~2日で終わる、もしくは8日以上続く
- ☐ 生理でないときに出血することがある
(3)生理周期
- ☐ 生理周期が25日より短い、もしくは38日より長い
これらの項目がひとつでも当てはまったら、異常な生理の可能性があります。背後に病気が隠れていないか、婦人科でチェックしてもらいましょう。生理の異常は、治療すれば改善できることが多いのです。
生理の不調は、婦人科で原因を調べて治せます
生理の不調に悩んでいるのは、あなただけではありません。日本女性の3人に1人が生理痛にひどく悩まされているのです。
けれども、毎月の生理と上手につき合えれば、生理とともに過ごす約40年間のQOL(生活の質)も上がります。ぜひ、婦人科を受診してください。
婦人科に行くときは、「生理痛などの症状が始まった年齢、痛みや不調の期間、強さ、生理時以外の痛みの有無、最終生理日、服用中の薬」をメモしていきましょう。もし基礎体温を測っていれば、基礎体温表をもって行き、医師に見せると貴重なデータになります。
婦人科では、原因を調べるために、内診や経腟超音波(エコー)での検査を行います。でも、それが婦人科を受診する壁になっているのなら、まずは内診なしでも可能です。
低用量ピルやお薬で改善も可能です
生理痛は、低用量ピルがファーストチョイスの治療薬です。痛みや出血量が半分以下になることが多いので、試してみてください。
エストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンが含まれている低用量ピルには、OC(oral contraceptives)とLEP(low dose estrogen progestin)があります。
いずれも排卵を抑えるとともに、子宮内膜が厚くならないようにして、痛みの原因となるプロスタグランジンという物質の産生を抑えます。その影響で生理痛はもちろん、生理周期にともなう、さまざまな不調が改善されることがあります。
月経困難症(つらい生理痛)の保険適用薬LEPは、健康保険3割負担で初診の診察費も含めて、月に3,000円強です。ジェネリックのLEP剤を選べば、月1,000円強で済みます。再診なら診察費が下がるので、もっと安くなります。
低用量ピル以外にも、漢方薬や専用の鎮痛剤など、治療の選択肢はありますので、産婦人科医と相談してみてください。
増田 美加
女性医療ジャーナリスト
エビデンスに基づいた健康医療情報について執筆、講演を行う。女性誌『婦人画報』『GINGER』『My Age』、新聞『時事通信』、女性WEBマガジン『MY LOHAS』『Web GINGER』ほかで女性のヘルスケアや医療の連載を行う。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。